イントロダクション──THA BLUE HERBと『STILLING, STILL DREAMING』
2002年にリリースされたTHA BLUE HERBの1stアルバム『STILLING, STILL DREAMING』。
このアルバムは、日本語ラップの枠を超え、生き様を突きつけるマニフェストとも言える作品だ。
その中でも、特に異彩を放つのが**「続・腐触」**である。
本記事では、この楽曲が持つ意味と、なぜ今もなお多くのリスナーの心をえぐり続けるのかを深掘りしていく。
「続・腐触」とは? 楽曲概要
- タイトル:続・腐触
- 収録アルバム:『STILLING, STILL DREAMING』(2002年)
- プロデュース:O.N.O
- リリック:ILL-BOSSTINO
「腐触(ふしょく)」とは、腐敗して傷つき、ボロボロになっていくことを意味する。
この楽曲では、BOSSTINOが社会の歪みや閉塞感を痛烈に描き、抗い続ける意志を叩きつけている。
タイトルに「続」とあるように、これはTHA BLUE HERBの過去曲「腐触」の続編的な位置付けとなる。
「腐触」では社会の矛盾を炙り出していたが、「続・腐触」ではさらに視点を広げ、より深く社会構造をえぐっている。
「続・腐触」のリリックが突きつける現実
この楽曲のリリックは、BOSSTINOの作品の中でも特に鋭く、聴く者に容赦なく突きつけられる。
いくつかのキーラインを抜粋しながら、その意味を解説していこう。
1. 「何も変わらねぇ 何も変えられねぇ その度に 俺は腐っていく」
このラインは、社会の現状に対する強烈なフラストレーションを表している。
「何も変わらない」という無力感が、「腐っていく」という表現と結びつき、自らもそのシステムの一部になりかねない恐怖が描かれている。
しかし、BOSSTINOはここで終わらない。この後に続くラインで、「それでも俺は抗う」と決意を見せる。
つまり、「続・腐触」は単なる絶望の歌ではなく、その絶望を超えていく意志の表明でもあるのだ。
2. 「俺が見たのは いとも簡単に人が変わる様 いや それすらも演じていたのか?」
このフレーズでは、人間の本質に鋭く切り込んでいる。
社会の中で生きるために、多くの人は自分を偽り、変わっていく。
しかし、それは本当に変わったのか? それとも、最初から「演じて」いただけなのか?
この問いかけは、リスナー自身にも向けられている。
**「お前はどうなんだ?」**と、突きつけられるのだ。
3. 「薄っぺらい言葉に踊らされるな」
このラインは、メディアや世間の情報に流される人々への警鐘とも取れる。
SNSが発達し、情報が溢れる現代においても、このメッセージはより一層強く響く。
何を信じるのか? 何を疑うのか? そして、どう生きるのか?
BOSSTINOは、この一言でリスナーに「考えること」を促している。
O.N.Oのビートが生む緊張感
「続・腐触」のリリックの鋭さを支えているのが、O.N.Oのビートだ。
- 無機質で冷たいサウンド
- 低音が響く重厚なトラック
- 緊張感を持続させるループ
このビートは、現代社会の冷酷さや無機質さを体現しているかのようだ。
まるで「出口のない迷宮」のような音の中で、BOSSTINOの言葉がリスナーの心をえぐり続ける。
「続・腐触」が今も聴かれ続ける理由
1. 社会の矛盾は変わらない
「続・腐触」がリリースされたのは2002年。しかし、2025年の今聴いても、そのメッセージは痛烈に響く。
むしろ、時代が進むほどに「この曲の言っていたことが正しかった」と感じる人も多いのではないか?
社会の不条理、人々の偽善、変わらぬ閉塞感──
この曲が投げかけたテーマは、今もリアルに存在し続けている。
2. BOSSTINOの言葉の力
リリックの一つひとつが、まるで「刃物」のように鋭い。
ただの不満の吐露ではなく、聴く者の心に深く突き刺さる「問い」となっている。
BOSSTINOのラップは、怒りや絶望を抱えながらも、それを自らの意志で乗り越えようとする力強さがある。
だからこそ、「続・腐触」は聴いた後に絶望するのではなく、「俺はどう生きる?」と考えさせる楽曲なのだ。
3. THA BLUE HERBという存在の象徴
「続・腐触」は、THA BLUE HERBの哲学を象徴する楽曲でもある。
彼らは決して「流行」に迎合しない。
世間が何を求めようと、自分たちの言葉を、自分たちのやり方で届ける。
この姿勢こそが、多くのリスナーに支持され続ける理由だ。
そして、この曲を聴いた人々は、自らもまた**「何かに流されることなく、自分を貫く大切さ」**を感じるのだろう。
まとめ──「続・腐触」は現代の生き方を問う楽曲
THA BLUE HERBの「続・腐触」は、単なるHIPHOPの枠を超え、生き方そのものに対する問いかけを投げかける楽曲だ。
🎧 今の社会に違和感を感じている人
🎧 何かに流されることなく、自分の意志で生きたい人
🎧 鋭い言葉に突き動かされたい人
この曲を聴けば、必ず何かが変わるはずだ。
THA BLUE HERBの音楽は、単に「聴く」ものではなく、「感じる」もの。
今こそ、あなた自身の「腐触」と向き合い、この楽曲が持つメッセージを受け取ってほしい。
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